要介護度を左右する決め手はADL

「ADL」という言葉を知っているだろうか?ADLとは、activities of daily livingの略称であり、「日常生活動作」のことを示す。具体的には日常生活で行っている、歩いたり、食事をしたり、排泄するしたり、歯みがき、服や靴の着脱をするなどといった、生きていく上で欠かせない動作のことだ。

また、ADLの中にはコミュニケーションをとることも含まれており、そのことの意味は、ADLが単なる動作だけでなく、もっと総合的な行為であることを示している。そのため、ADLは日常生活動作ではなく、将来的には「日常生活行為」と訳されるかもしれない。

しかし、最近ADLに関しての考察で、要介護の高齢者の「できること」がイコール毎日「していること」ではないということが分かってきた。例えば、ある人は歩行することが難しくても、頑張ればなんとかできる場合、買い物に行くことも頑張れば可能だと判断されてしまい、場合によっては介護サービスが必要ないことになってしまったと仮定してみる。しかし歩行の辛さから、買い物の頻度が減り、食料の買い出しが疎かになると数ヵ月後には、低栄養状態で動けなくなってしまう事態が起こることも想定される。

このようなことを踏まえると、ADLを判断する際には、「できる」ではなく日常的に「している」ことをチェックするべきだという考えが出てくるのだ。そして、介護を必要とする人にとって、最適な支援や介護サービスの提供を決めていくことが大切になる。