共に生活をするという視点で考えるADLの評価

老健のケアプランは、単純に施設介護サービス計画という意味に終わることなく、在宅復帰計画と在宅生活実現計画としての意味も込めて作成されなければならない。身体機能やADLの向上がみられたから在宅復帰の取り組みを位置づけるということではなく、入所前の最初のケアプランの段階から在宅復帰を目指して策定されることが望まれる。そのため、施設内における悩みやニーズだけを把握するのでなく、利用者個々の在宅での生活を充分に想定したうえで、ケアプランを考えるべきなのだ。

「どんな理由で在宅生活の継続ができなくなったのか」「どうすれば自宅に戻ることができるのか」「自宅で生活する時の家族の悩みは何か」等を基準に、入所者をアセスメントし、施設ケアプランを作成することが大切だ。

また、それに欠かせないのが、入所前、入所後に直ちに行われるべき在宅訪問である。この訪問は、単なる住宅評価ではない。情報収集を行うと共に、利用者とその家族を含めた住環境との相互影響の結果として、ADL実行状況の評価を行うことである。

これらの評価や情報収集を適切に行うことが、入所前後の訪問指導におけるリハビリスタッフの役に立つのだ。なぜなら、得られた情報はダイレクトにリハビリでの目標設定や内容などに活かされることになるからだ。自分が利用者と共に生活をすると想定した視点でアセスメントや評価を行うと、よりリアルな情報をリハビリ担当者に提供できるだろう。